がんになった時にだけ保障が受けられる保険が、がん保険です。
固定費の見直しサービスでは、以下の観点から、がんに対する備えについては、基本的には金融資産で対応することを推奨しています。
①公的医療保険制度により医療費の負担額には基本的に上限がある
②公的保険の範囲外は「治療のために必ず発生する要素」では無い
①大きな医療費を支払う事になったとしても、自己負担額には上限があります。この上限を理解し、金融資産で備える事を推奨しています。
②健康保険の適用とならない全額自己負担となる自費診療については、個々の選択による治療となり、「治療のために必ず発生する要素」では無いと考えます。自費診療への備えについても、使途を問わない自由度の高い金融資産で備える事を推奨しています。
1.がん保険の特徴
がん保険は、がんになった時だけ保障され、がん以外の病気やケガの場合は保障されません。保障をがんのみに限定しているためがん以外の病気やケガを保障する医療保険より保険料が安いこと、契約から一定期間保障されない期間があること等が、がん保険の特徴です。
<がん保険の保障イメージ>
2.がんの治療について
がんの治療については、以下の特徴があり、高額になるケースもあります。
(1)がん治療の費用について
実際にがん治療にかかる費用はどれくらいでしょうか。
がん治療の費用については、厚生労働省「医療給付実態調査 平成30年度」によると入院費用、入院外費用の総額は、以下の表の通りとなっています。健康保険制度を適用した自己負担額(費用の3割負担の場合)では、白血病を除くと入院費用で29万円以下となり、入院外費用で3万円以下となっています。また、高額療養制度の適用によって、実際の負担額はさらに軽減される可能性があります。
一カ月の医療費が高額になった場合には、高額療養費制度が適用でき、自己負担限 度額を超える分は払い戻されます。
例えば健康保険の加入者が70歳未満であり、所得区分が28~50万円の方で、同月内の入院費用と入院外費用の合計総額が100万円だった場合の自己負担額を試算してみましょう。
<高額療養費制度>
・所得区分が28~50万円の場合の自己負担限度額
80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
上記の式にあてはめると、
「80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円」が自己負担限度額となります。医療機関の窓口で「1,000,000円×0.3=300,000円」を支払っている場合、高額療養費制度を適用することで、「300,000円-87,430円=212,570円」が払い戻されます。
前述のように高額療養制度により、医療費の自己負担額には上限があります。
しかし、治療が長期化する場合など、継続して自己負担額が発生することに備えて、固定費の見直し保険診断では、がん保険へ の加入ではなく自身の金融資産を増やして備えることを推奨しています。
(2)自由診療と先進医療について
がんの治療にかかる費用や医療費の3割負担、高額療養費制度について説明してきましたが、これらは保険診療(3割負担)による治療の場合です。「保険診療の対象外となる自由診療」や「先進医療にかかる費用(通常の治療と共通する診察・検査・投薬・入院等の費用は一般の保険診療と同様)」については、全額自己負担となります。
保険診療以外の治療についても、まずはご自身の金融資産で備え、それでも不安な場合は、がん保険を検討してはいかがでしょうか。
3.がんに対する備えについて
本サービスでは、がんに対する備えは、基本的に金融資産で備えることを推奨しています。
医療費負担がある状況下、金融資産からの支出には、それなりの心理的負担を伴いますので、がん保険は給付金そのものというよりは「給付が受けられる安心感の為のお守り」として備えるという考え方もあると思います。
がんにかかった際の医療費に対しては、手厚い公的医療保険制度があるとはいえ、がんで働けなくなった場合の必要な生活費等は考えたほうがいいでしょう。